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当ブログの予想と的中の定義は次のようにします。 シルシ 上位から◎○▲△××の6つ。シルシを打つ馬の頭数は、出走馬の半数を上回らないものとします。 的中 本命的中=◎の単勝を買ったと想定して的中を判定します。 馬連的中=◎○▲△の馬連4頭ボックスを買ったと想定して的中を判定します。 三連単的中=◎→○→▲△××の三連単軸二頭マルチを買ったと想定して的中を判定します。 想定回収率=それぞれの買い目を100円ずつ購入したと想定して、回収率を算定します。

アップトゥデイト〜萌馬名鑑/28

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    〜敗れてもなお前を向き続ける障害界の重鎮〜

     

    3年ぶりの萌馬名鑑。今回取り上げるのは、障害競馬で長く中心選手を続けているアップトゥデイトです。


    いまでこそ障害のトップジャンパーですが、デビュー当時はダートの有望株として注目されていた馬。なにせ中京ダート1400mでデビューした時には、のちにジャパンダートダービーなどダート重賞を6勝するクリソライトを破ってデビューウィンを飾っていたのです。
    その後もヤマボウシ賞を勝ち、兵庫ジュニアグランプリ2着、全日本2歳優駿3着と、2歳ダート戦線の中心選手として活躍していました。
    しかし3歳になってからが案外。
    かつて下したクリソライトがJDDを勝って3歳ダート王の座に就いたころ、こちらは地方の準オープンで掲示板に載ることも出来ずに喘いでいました。
    1000万条件に降級しても状況が変わらず、早熟だったのかと思われつつあったアップさんに転機が訪れたのは4歳夏。
    苦し紛れに芝の九州スポーツ杯を使い、案の定8着に惨敗した後に選んだのは、障害戦でした。

    かつてタップダンスシチーやアーネストリー、キズナを粘り強く育て上げた佐々木晶三調教師ですが、かつて管理する障害馬の落馬事故で騎手に重傷を負わせた経験から、管理馬を障害に転向させることはありませんでした。
    その禁を破ってまでアップさんを障害に転向させたというのは、この馬の中にあきらめきれない才能が眠っていたからでしょう。
    障害初戦は2着、2戦目で勝ち上がりましたが、その後は一進一退の成績続き。当初は直線がダートのコースにしか勝ち鞍がなく、重賞初挑戦の阪神スプリングジャンプを4着で終えた時は「やはりダート馬か」とも思わせましたが、その評価は続く中山グランドジャンプで一変します。


    このレースでは前年の覇者・アポロマーベリックをマークするようにして、後続を引き離しながら先行。4コーナーでついにディフェンディングチャンピオンを沈めるとあとは独走、後続に1.7秒の大差をつけ、5頭が競走中止したサバイバルレースを圧勝しました。
    この馬の強みは、なんといってもスタミナ。中山大障害コースのタフな長丁場でも、最後まで飛越が乱れず、高く美しいフォームを保つことが出来、しかもラストスパートでは平地重賞を連対した脚力で後続をさらに突き放せます。
    続く小倉サマージャンプも制し、中山大障害ではエイコーンパスを振り切って春秋ダートG鬼袷汗覇を達成。
    佐々木調教師の勇気ある抜擢が大輪の花を咲かせ、障害界にアップトゥデイト時代が到来した……かに思われました。


    しかしひと息入れた阪神スプリングジャンプで新星・サナシオンの逃げ切りを許すと、中山グランドジャンプを回避したあとの新潟ジャンプSではなんと8着に大敗。続く阪神ジャンプSでは4連勝の勢いに乗るニホンピロバロンの前に屈し、不安を抱えたまま中山大障害連覇に挑みます。
    ここで待ち受けていたのは、その年の中山グランドジャンプでサナシオンを下していわば暫定王座に就いていた新星・オジュウチョウサン。
    スピードのある飛越と、末脚の爆発力を武器に連勝街道をひた走っていたオジュウチョウサンと、無尽蔵のスタミナと飛越の確かさを誇るアップさんの対決は、逃げるアップさんを最後のバンケットの上りでオジュウチョウサンが捕まえ、最後の障害も並んで飛越。マッチレースでの叩きあいとなって直線に向き、ここは重賞2着の実績があるアップさんの平地力が上回るかと思われましたが、果たして突き放したのはオジュウチョウサンの方。最後は9馬身差をつけられ、完敗の形となったのでした。


    結局障害界の王座に就いていたのは2015年の1年だけ。
    高い障害適性を持っていながら、より高い能力を持ったオジュウチョウサンと同じ時代に生まれたのは不運でした。
    その後もオジュウチョウサンにはつごう3連敗を喫し、16年以降の障害重賞連敗は7まで伸びました。このままオジュウチョウサンの引き立て役、障害界のシルヴァーコレクターとして定着するのかと危惧された矢先、17年阪神ジャンプSを逃げ切って1年9か月ぶりの勝利を挙げたアップさんは、オジュウチョウサンに4度目の挑戦状をたたきつけます。
    舞台は暮れの中山大障害。アップさんは、1周目のスタンド前で前走同様逃げの形に持ち込むと、自慢の平地力とスタミナにものを言わせ、向正面に出たころにはただ1頭大逃げの形に。道中ではこちらがバンケットを駆け抜ける頃にようやく2番手のオジュウチョウサンがバンケットにさしかかる、後続に3秒ほどもマージンを築く大逃げ。
    しかしオジュウチョウサンも何度か飛越を乱しながらも、最後のバンケットで差を詰め、5号障害を飛越して直線を迎えるときには3馬身差。
    逃げるアップトゥデイト、追い詰めるオジュウチョウサン、観衆が固唾をのんで見つめたマッチレースはゴール目前、オジュウチョウサンが差し切ってのレコード勝ちで幕を閉じました。
    まさに逃げも逃げたり、差しも差したり。
    前王者と現王者がプライドをかけて、全身全霊をこめてがっぷり四つに組んだ一騎打ちは、障害史に残る名レースになったと言えるでしょう。


    あれから1年。
    アップさんの主戦を務めた林満明騎手は障害レース2000回騎乗の金字塔を置き土産にターフを去り、新たな主戦には名手・白浜雄造騎手が迎えられました。
    そして好敵手のオジュウチョウサンはJ・G毅犠 ⊂祿横肱⊂,梁腟録を打ち立て、やり残したことは何もないとばかりに、有馬記念を次の目標として平地に再転向しました。
    一方、アップさんは阪神ジャンプSを勝って、今年も中山大障害に帰ってきます。
    オジュウチョウサンがいない今年は、当然負けられない立場ですがしかし、迎え討つ立場になったアップさんにはなにか物足りなさを感じてしまうのも事実。
    彼の凄みは、障害の王座に向かって駆け上がってきた頃、あるいはオジュウチョウサンの絶対王権に刃向かって大逃げを打った時のあったと思うのです。


    平地を合わせたここまでの通算成績は36戦10勝の勝率2割7分7厘。
    スターホースというにはあまりに物足りない成績でありながら、彼が人を惹きつけるのは、平地で敗れ続け、あっさりと障害の王座から陥落し、偉大なライヴァルに何度跳ね返されても、挑戦することを、勝利に挑むことをあきらめなかったからでしょう。

    その姿は幾度も流罪に遭い、政権から下野することを余儀なくされてもなお、逞しく前を向き続けた幕末の英雄、西郷隆盛のようだと〆たら、大河ドラマの見過ぎだと笑われるでしょうか。

     

    アップトゥデイト
    芦毛 牡8歳
    父:クロフネ
    母:リニアミューズ
    母の父:トニービン
    主戦場:障害重賞戦線
    馬名の由来:最新の、現代的な。
    主な勝ち鞍:15年中山グランドジャンプ、中山大障害、15年小倉サマージャンプ、17年、18年阪神ジャンプS、18年阪神スプリングジャンプ
    びぜんやの個人的な狙いどころ:スピードの要求される新潟は不向きで、飛越の巧みさとスタミナが要求される中山の大障害コースがもっとも持ち味を生かせます。


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